searchサイト内検索 / 

Warning: array_key_exists() expects parameter 2 to be array, null given in /home/kir611389/sagamiphp/module/common/MenuConf.php on line 129

SEPIC回路の動作原理とインダクタ選定 | SEPICについて

SEPICとは

Single Ended Primary Inductor Converter の略称。SEPICとはインダクタを2個使う昇降圧コンバータの一種。
最近ではIC技術の進歩で専用ICが出てきたことで、使われるようになってきています。



目次

電源回路

電子機器で消費されるエネルギーは、電源回路から供給されます。

電源回路は、商用交流電源や電池などから入力した電気エネルギーをそれぞれの電子機器が要求する電気エネルギーに変換して供給します。

電源回路の特性

電源回路の分類

電源回路の分類

スイッチング電源

スイッチング電源とは、スイッチング素子を用いて電力変換・調整を行っている電源装置の一つです。

利点

  • 小型
  • 軽量
  • 高効率

欠点

  • 部品点数が多い
  • ノイズが大きい
スイッチング電源

スイッチング電源の分類

コンバータの中でよく使われる。スイッチング電源の分類は下記のようになります

スイッチング電源の分類

非絶縁型の回路形態と特徴

ZETA回路は反転SEPIC回路とも言われてます。SEPIC回路と同じ昇降圧型で、回路構成が類似してます。使用用途は同じです。

種類 回路例 入力電流リプル 出力電流リプル 出力 コイル数 特徴
昇降圧 昇降圧回路 反転 1 入出力電流のリプルが大きい出力が反転する
SEPIC SEPIC回路 - 2 入力電流のリプルが小さい
ZETA ZETA回路 - 2 出力電流のリプルが小さい
CUK CUK回路 反転 2 入出力電流のリプルが小さいが出力が反転する

SEPIC

参考)昇降圧コンバータの使用例

自動車のバッテリから電池への充電に用いられるケース
自動車のバッテリから電池への充電に用いられるケース
携帯機器において1セルのリチウムイオン電池から3.3Vの電圧を安定して得るケース
携帯機器において1セルのリチウムイオン電池から
3.3Vの電圧を安定して得るケース

回路構成自体は40年以上前からあった。ただし設計難易度が高く採用されてなかった。
(昔はトランスを使っていた)

⇒最近ではIC技術の進歩で専用ICが出てきたことで、使われるようになってきてます。

トランス

SEPICの特徴

メリット

  1. 一つの回路で昇圧と降圧の動作ができる
  2. 出力電圧と入力電圧の極性が同じ

デメリット

  1. 大電流用途には向かない
  2. インダクタを2個使う

回路の動作原理・イメージ

例)Vin=12[V]でD=0.4のとき、Vout=8 [V] D=0.6のとき、Vout=18 [V]

デューティ比Dは、1周期におけるONの割合のこと。

D = Ton T = Ton Ton + Toff

D=0.5を境にして、昇圧か降圧かが決まります

回路の使用用途

入力電圧が変動しやすい、電源電圧と出力電圧が近い場合に使用されます。

①車載用機器での使用

自動車の用途でLEDを光源とした場合、自動車特有の電圧変動が大きく、昇圧型、降圧型では、LEDのちらつきなどが発生して設計が難しい。

昇降圧型の方が設計が容易の為、LEDを使った下記のものに使われております。

②モバイル機器での使用

単一のリチウムイオン電池は通常、4.2Vから3Vに放電されます。例えばユニットが3.3Vを必要とする場合にSEPICは効果的です。

SEPIC回路のインダクタの選定

L値

L値が大きいとリプル成分(※1)が抑制されます。また効率も良くなります。ただし負荷応答特性(※2)が大きくなります。

※1: リプル成分とは平滑回路で一定に出来ない微小な変動成分。理想的にはゼロであることが望ましい。
※2: 負荷応答特性とは急激な電流変動に対する出力の電圧変動特性。

DCR,定格電流

DCRが小さければ発熱による損失が小さくなるため、効率も良くなります。
定格電流は、流す電流以上のものを選定します。

使用するインダクタの選定

SEPIC回路にはインダクタが2個必要ですが、回路動作上問題ない為、同じコアに電線を2本巻いた結合インダクタ(SQR/SGQRなど)を使用できます。

それにより実装面積を大幅に減少させることができます。

CER1242B × 2pcs
CER1242B × 2pcs ⇒ SQR1277CA

サガミのSEPIC回路用インダクタ(SQR/SGQR)の特徴

  • 2in1構造のため実装タクト、接地面積を低減
  • 型・高効率のSEPICやZETAコンバータなどに対応
  • 閉磁路構造
  • 4端子構造により耐振動性、耐衝撃性が向上

効率比較

SEPICの評価基板を用いて下記インダクタのサイズや種類を変更し、効率を測定しました。

サイズ[mm]
(D×W×H)
コアの材質 種類 数量
12 × 12 × 8 フェライト 結合インダクタ(2in1) 1
11.5 × 10 × 9 メタル 結合インダクタ(2in1) 1
8 × 8 × 6.8 フェライト 結合インダクタ(2in1) 1
12 ×12 × 4.5 フェライト パワーインダクタ 2
7.5 × 7.2 × 5.4 メタル パワーインダクタ 2
結合インダクタ(2in1)の効率比較(フェライト/メタル)
フェライト vs メタル(① vs ②)
パワーインダクタの効率比較(フェライト/メタル)
フェライト vs メタル(④ vs ⑤)

フェライトの方が効率が良い結果となった。
※効率の値はICによって変わります。

※メタルはフェライトに比べ、小電流でもL値が下がりやすいためと考えられる

フェライトの効率比較(結合インダクタ/パワーインダクタ)
2in1 vs 2個使い フェライト(① vs ④)
メタルの効率比較(結合インダクタ/パワーインダクタ)
2in1 vs 2個使い メタル(② vs ⑤)

まとめ

  • SEPICは電源回路の一種で、昇圧も降圧もでき、インダクタを2個使う
  • SEPICは電圧変動しやすい車載電源や携帯機器のバッテリー等や電源電圧と出力電圧が近い場合に使われる
  • SEPICで使用されるインダクタ2個は、
    結合インダクタにすることで実装面積などメリットがある
  • SEPICではメタルよりフェライト、サイズは大きい方が効率は良い。
    2in1とシングル2個使いで差は無い。※弊社比較

SEPIC/ZETA用トランスの製品はこちら

注意事項
  • 本文中に掲載の製品の一部には、既に生産が終了しているものが含まれています。
  • 記事作成から時間が経過しているので、記載の情報が古いままの内容が含まれています。

※掲載内容に付いて、お気付きの点がありましたら、こちらからお願いします。