インダクタのコア材質について | フェライトとメタルについて
はじめに
現在のインダクタ市場では、コイルのコアは主に2系統の材質を使用して作成されています。
| フェライト系 | ![]() | ![]() | ![]() |
| 金属系 | ![]() | ![]() | ![]() |
それぞれ特徴があり、解説していきます。
直流重畳特性の違い
まず、大きな違いとして直流重畳特性があります。 フェライトと金属系は特性カーブが大きく異なっており、下記のようになります。 また、金属系の方が飽和磁束密度が大きいためより大きい電流を印加することができます。

弊社製品と比較してみると、 例えば弊社のフェライト製品CER5017Cと 金属系製品XRK0530Bを初期L値から20%低下する電流で比較すると、大きな差があり、 2回り大きなCER7032Bで同等となります。
金属系は環境温度の影響を受けにくく、弊社が規定する動作温度の上限においても 直重畳特性にほぼ変化は見られません。 一方で、フェライトは温度の影響を受け、高温雰囲気化においては直流重畳特性が低下します。

室温では同等特性でしたが、 温度が上がったことで特性の変化が生じ、 CER7032Bでは同等特性となりません。
特性違いの原因
このような特性が生じる原因は磁気飽和を抑制する機構エアギャップの構成の違いに起因します。 フェライト材の場合、磁路の一部に空隙を設けることが一般的です。 一方で、金属系は、根本的にエアギャップの構成が異なっています。 金属系のコアを作成する場合、金属をumオーダーの粉末まで砕いたものを、 樹脂と混ぜ合わせて作成されます。 上記のように作成されるため、金属粒の間に樹脂が存在し、この樹脂がエアギャップの役割を果たします。 この違いによって直流重畳特性の特性カーブに違いが生じ、実行透磁率が同等でありながら、 磁束の漏れ方に違い生じます。
例えば下記の製品はどちらも電線部分が覆われているように見えますが、フェライトの場合はエアギャップから磁束が漏れるのに対し、金属系の場合は全体から磁束から漏れています。 これはフェライトはエアギャップ部以外の部分が高透磁率であるのに対し、 金属系はコア全体の透磁率が低いためまんべんなく、磁束が漏れます。
| フェライト系 | ![]() | ![]() | ![]() |
| 金属系 | ![]() | ![]() | ![]() |
著者情報
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