このコラムは、7Gシリーズがモデルのマスコット コイルちゃん が聞き手となり、開発部の ネオさん にお話を伺うインタビュー形式でお届けします。
はじめに
きっかけ:従来素材の「音質の限界」
まず、なぜオーディオ用にメタルコアを開発しようと思ったんですか?
サガミエレクがオーディオ用部品を得意としているからです。聴感上の音質の良い製品が求められていて、今まで通りの素材を使用したインダクタでは音質に限界がありました。10年以上前、市場で鉄微粉末を用いたインダクタの検討が盛んだった時期があり、「これを用いたインダクタを作ったら面白いんじゃないか」というところからスタートしました。
「フェライト臭がする」——お客様の言葉
音質の"限界"は、どういう言葉で語られることが多かったですか?
言葉では伝えにくいのですが、「フェライト臭がする」という表現をお客様からよく耳にしました。私個人の聴感では、パワフルで元気のいい音になるのですが、どちらかというとピュアオーディオではなくミニコンポなどに適した音だったのかなと思います。
最初の驚き:自然で高解像度の音
鉄微粉末で最初に試したとき、何が起きたんでしょう?
最初のサンプルは、接着剤に鉄微粉末を混ぜ込んで音を聞いてみたのですが、聴感上、自然で解像度の高い音質のものができて驚いた記憶があります。そこからは「これをどうやって量産工程を確立して製品化するか」が大きなテーマになりました。
DVPが先、DVKが後——"高音質"を育てた2つのモデル
その試作は、どんな製品につながったんでしょう?
音質を追求するために、何を大事にしたか
「自然で高解像度」という結果が出た後、製品化に向けて"音質を守る"ために、どんなことを大事にしましたか?
音質に効く要素はいくつもありますが、制御が難しかったのは 磁性体の種類、結着材、成形圧力(とその分布)、製品の構造 といった部分です。これらはどれか一つを良くすれば終わりではなく、全てがうまく噛み合っていないと良い音が出ないんです。結果として表には出てきませんが、通常では規定しないような"レシピ"が盛りだくさんになった製品になりました。一方で、巻線や電線の母材についてはこれまでのノウハウがあったので、そこは特に悩む必要はありませんでした。
そして重要なのは、DVPとDVKはコンセプトは同じでも、レシピは全然違うということです。使うのは鉄微粉末ですが、組成からして違う。だからDVKを開発したときも、DVPの延長ではなく、音質づくりを一から積み上げていった形になります。多くの方に協力してもらって、やっと出来上がったときには達成感もひとしおでした。
どう選ぶ?(迷ったときの考え方)
最後に、読者が"選び分け"できるように、ざっくりした目印をください。
D級アンプにピュアオーディオの音質を要望されるお客様へのおすすめとして、まず DVKシリーズから試していただくのが良いと思います。DVPは、聴感上の高音質を求めたフラッグシップとして生まれたシリーズです。DVKは、そのコンセプトを大切にしながら、サイズやコスト面も含めてより使いやすくなるようにブラッシュアップしてきました。一方で、クロストークや歪率など スペック上の高性能を求めるなら、一般的なラインアップの 7Gシリーズなどをおすすめします。各品目ごとに大きな特徴があるので、要望をサガミエレクのFAEや営業に伝えてもらえれば、幅広いご要望にお応えできると思います。
一言でいうと
D級アンプこそ、試聴して比較してほしい
最近はD級アンプの採用も増えていますが、音質面ではどう見ていますか?
おわりに
カタログスペックが良く見えても、実際に使ってみると「ちょっと違うな」「思ったよりまずいな」と感じる製品が出てくることはあります。見た目の数字だけで判断せず、実機での"聴こえ方"まで含めて確認することが大切です。サガミエレクの高音質インダクタは、ぱっと見は似ているように見えても、使ってみると違いが出る——そこを目指して作り込んできました。お客様の声が製品をより良いものにしますので、お困りごとがあればお気兼ねなくご相談ください。
