第1回 | インダクタンス・損失・飽和について | コイルのネタ帳
コイルのネタ帳とは
ここではコイルの「為になる知識(ネタ)」をお届けしていきたいと思います。
コイルがどんなことを考えて開発されているのかを知ると、色々なコイルが見極めるられるようになるかもしれません。今後のコイルの選定にお役に立てましたら幸いです。
第1回 インダクタンス・損失・飽和について
インダクタの電気的特性の主なものは次の3つになります。
- インダクタンス
- 損失
- 飽和
仕様書ではインダクタンス、直流抵抗、許容電流が記載されています。
それ以外に耐電圧、磁束漏れ、鳴き、歪みなどもありますが、今回は主な3つの特性に絞って紹介したいと思います。
理想と現実・・・
1.インダクタンス
理想は「一定であること」ですが、現実は「ストレー容量により自己共振が発生してしまう」「コアの透磁率は高い周波数で下がってしまう」ということがあります。
確認するパラメーターや特性
- インダクタンス(F-L特性)
- 自己共振周波数
自己共振周波数=20.8MHz
ストレー容量=5.88pF
自己共振より低い周波数で使用してください
ストレー容量=5.88pF
自己共振より低い周波数で使用してください
μi’=L成分
μi‘’=R成分
μi‘’=R成分
2.損失
理想は「損失0」ですが、現実は「巻線の抵抗やコアの損失がある」「損失により発熱する」ということがあります。
確認するパラメーターや特性
- 直流抵抗
- 温度上昇特性(I-⊿T特性)
- 損失(F-Rs特性)
定格値として⊿Tが20℃となる電流値を目安にした場合=3.6A
損失は周波数特性を持つ
3.飽和
理想は流す電流が増えても「飽和しない」ですが、現実は「磁性体を使用したものは大きな電流を流すと飽和してしまう」「飽和はインダクタンスの低下となる」ということがあります。
確認するパラメーターや特性
- 重畳特性(I-⊿L特性)
定格値として⊿L=-5%となる電流値を目安にした場合=5.0A
特性を改善するには・・・
1.インダクタンス >> ストレー容量を減らして自己共振周波数を上げるには
- コアの透磁率を上げて巻数を減らす
- 密巻き→スペース巻にする
- 巻始めと巻終りの距離を離す 一層巻にする 低背型の方が良い
2.損失 >> 直流抵抗を減らす・Rsを小さくする・発熱を減らすには
- 太い電線を使用する
- 低損失の磁性材を使用する
- 構造による損失の改善
3.飽和 >> 電流を流した時のインダクタンスの低下を小さくするには
- 高飽和特性の磁性材を使用する
- コアの芯径を太くする
- エアギャップを大きくする
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